岡山県玉野市にあった類人猿研究センター(GARI)で研究のパートナーとして暮らしていたチンパンジー8人。
彼らのようすを、写真を添えてつづってきた2004年8月から2013年3月までの「えにっき」の記録です。
くっきりとした空の青と山の緑がきれいなすがすがしい春が来ました。
暖かくなると、自然と体を動かしたくなるのはヒトもチンパンジーも同じです。
冬の間はあまり利用されなかった第一放飼場(野外運動場)の13mタワーも、この時期からみんなの遊び場や休憩場所として
活発に利用されるようになります。
赤ちゃんのナツキも、このところとても活発になりお母さん以外の他のチンパンジーと積極的に遊ぶようになりました。
お母さんのツバキが他のチンパンジーと遊ぶのを許すようになった、というのはもちろん、
ナツキ自身も「オラオラ~」とみんなに突進しています。
でも、ナツキ自身がそれぞれのチンパンジーとの関わり方を考えているようなところがあるのは興味深いところです。
例えば同じオスでも、ジャンバには頭突きをしてでも攻めていくのに対して、
お父さんであり、群れのリーダー的存在であるロイには多少距離をおきながら近づきます。
また、同じメスでもミサキには、これまた頭突きをしてでも攻めて行くのに対して、
ミズキとは遊ぶものの、世話をやかれすぎると逃げ腰になってお母さんに助けを求めています。
このナツキと他の仲間との関係は、ツバキと他の仲間との関係に似ているように見えます。
ツバキとロイ・ジャンバとの力関係、ツバキとミズキ・ミサキとの信頼関係に…。
小さいながらも、お母さんの行動をかなり観察しているのかもしれません。
ナツキがこれから先、この群れで仲間とどのような関係を築いていくのか楽しみです。