チンパンジーえにっきイメージ

岡山県玉野市にあった類人猿研究センター(GARI)で研究のパートナーとして暮らしていたチンパンジー8人。
彼らのようすを、写真を添えてつづってきた2004年8月から2013年3月までの「えにっき」の記録です。

2006.2 「子育て上手!?」

2月17日、ツバキは10才の誕生日を迎えました。

ハッピーバースデイツバキ ジャングルジムで遊ぶナツキ

このところのツバキ親子を見ていると、ツバキは実に子育て上手にみえます。

7ヶ月を過ぎたナツキは今、体を動かしたくてしかたがないようで、スキあらばお母さんから離れ、ひとりで歩き回ったり、
ジャングルジムを登ったりと活発に運動をしています。

ツバキは、そんなナツキをただ見守っています。
こちらが心配になるくらいナツキがお母さんから離れてしまっても、ツバキは気にすることなく自分のやりたいことをやっています。

でも、実は時々ナツキの居場所をチラッと確認していて、ナツキの身に何かありそうな時はすぐにかけつけています。

ツバキの中にはルールがあり、ナツキがひとりで遊ぶのは放っておきます。
そこへ、ジャンバやミズキ、ミサキが来た時も放っておきます。
でも、ひとりでいるナツキの近くにロイが来た時は必ずナツキを迎えに行きます。

ツバキは、ナツキにとって誰が安全であるかそうでないかをよく把握しています。 そして、必要な時だけきちんとナツキを守っています。

ツバキが考える"ナツキにとって危険な存在"は、アルファオスであるロイのよう。
でもロイはナツキのお父さんなんですけどね・・・。

好奇心旺盛

また、このおてんば娘ナツキは寝る直前まで活発に運動しています。
ツバキを含む他の5人のチンパンジーは早く寝たいのに、ナツキだけはなかなか寝ません。
カメラを触って遊んだり、不破研究員にチューをしたり・・・。

ナツキのチュウ

この時もツバキはただ見守っています。
「早く寝なさい!」とも言わず、好きなだけ遊ばせます。でも、そのうち「帰ってきなさい」というように優しくナツキの手を引いて促し、
自分の胸に抱きます。

それでも、ナツキはすぐに寝ません。

高い高い

するとツバキはナツキを上手にあやしはじめます。

くすぐってあやす

高い高いをしたり、くすぐったり・・・。
ナツキは、ひとり笑い声をあげてとても楽しそう。

そしておっぱいを吸いながら幸せそうに眠りにつきます。こんな様子が毎日のように繰り返されるのです。

過保護でなく、放任でなく。10才の母、ツバキの子育てにヒトも見習わなければなりません。

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