チンパンジーえにっきイメージ

岡山県玉野市にあった類人猿研究センター(GARI)で研究のパートナーとして暮らしていたチンパンジー8人。
彼らのようすを、写真を添えてつづってきた2004年8月から2013年3月までの「えにっき」の記録です。

2005.10 「群れに合流」

これは、類人猿研究センター(通称GARI)のチンパンジーの夕食風景です。
(左からロイ・ジャンバ・ミサキ・ミズキ)
いつも、こうやって研究スタッフから手渡しで食べ物をもらい、みんな一緒に食べています。

そして夕食を終えると、みんな同じ居室(チンパンジーの寝室)で一緒に寝ます。
GARIでは、彼らがこの施設に来たばかりのちびっこの頃、研究スタッフが母親代わりに添い寝をするという「寝かしつけ」を始めました。
チンパンジーが寝る時間になると、研究スタッフが寝かしつけます。
そして彼らが寝息をたてた頃、そっと部屋を出てくるのです。

実はこの「寝かしつけ」。
ロイとジャンバが10才を過ぎた現在もおこなわれているのです。

(↑2005年10月13日のようす)

野生チンパンジーは普通、高い樹の上にベッドを作って寝ます。 そう考えると、みんなで一緒にワラの上に"ざこね"するこの光景は少し異様かもしれませんね。

そして、出産を境にずっと別の部屋で寝起きしていたツバキ&ナツキも先日からようやくこの「群れ」に合流することができました。
夜間の居室は完全にチンパンジーだけの空間になります。 もしそこで何か騒動が起こり、オスが赤ちゃんをとりあげたりしたら…。 そう考えれば、何が起こるかわかりません。
さまざまな事態に備え、スタッフ一同ドキドキしながら、10月14日、ツバキ&ナツキが入っての初めての夕食&寝かしつけがおこなわれました。

初めのうちは、3ヶ月ぶりの同居にツバキも興奮、みんなも興奮、という感じでした。
ツバキは緊張しながらも、我が子をしっかりと胸に抱き、きっちりとガードしていました。

…しかし、当のナツキはというと?そんな緊張の空気はもちろん読めず、自分の目の前に広がるいろんなものを触りたくて仕方がありません。

不意にナツキが、近くにいたミズキの毛をぎゅっとつかんでしまいました。
たったこれだけのことが、この群れでは大騒ぎになりました。 犬猿ならぬ、猿猿の仲のツバキとミズキ。
ツバキに怒られると思ったミズキが「ギャー」と泣き、それに反応したツバキがミズキを怒り、さらにその様子を見たロイまで興奮し暴れだす…といったように。
チンパンジーとは、このようにややこしい動物なのです…。

そんなことがありつつも、とりあえず今まで大きな事故もなく過ぎています。
チンパンジーの赤ちゃんは夜泣きをしません。でも、夜中にゴソゴソとおっぱいを飲んでいる様子。そのゴソゴソが気になって眠れないのか他のチンパンジーは最近ちょっとストレスがたまってきているようです。
でも、だれもナツキを怒ったりはしません。

今、群れの中心にいるのは、やっぱりこのナツキのようです。

5月から5回にわたってお伝えしてきた、ツバキ&ナツキシリーズ。
「群れ」に合流できたので、とりあえずはおしまいです。

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